防災士が解説|家族で決めておくこと【コミュニケーション編】|15分で終わる家族会議

家族で決めておく災害時の連絡方法【コミュニケーション編】の要点をまとめた図解

4部シリーズの最後です。物の備え、室内の備え、屋外の備えときて、今回は人の備えです。

お金も道具もいりません。それなのに、いちばん後回しにされます。「うちは家族の仲がいいから大丈夫」と思っている家庭ほど、実は何も決まっていません。

この記事では、15分で終わる家族会議のやり方を具体的に書きます。

議題は3つだけに絞ってください

家族会議が続かない理由は、話が広がりすぎるからです。防災の話は始めるとキリがありません。だから最初は3つだけにします。

  1. 誰が何をするか(役割分担)
  2. 時間帯ごとに、どう動くか
  3. 決めたことをどこに書いておくか

集合場所と連絡手段については防災グッズより大事な「連絡の決め事」にまとめてあるので、そちらとあわせて話してみてください。

1|誰が何をするか

揺れが収まった直後、やることは意外と多いです。全部をひとりでやろうとすると、必ず抜けます。

  • 火の確認と消火……揺れが収まってから
  • ブレーカーを落とす……避難するとき。通電火災を防ぎます
  • 玄関の扉を開ける……ゆがんで開かなくなる前に
  • 子どもを守る、連れて出る
  • 高齢の家族に付き添う
  • ペットをケージに入れる
  • 防災バッグを持つ
  • ガスの元栓、窓の施錠

これを家族で割り振ります。子どもにも「自分の役割」があると、動きが変わります。

大事なのは「その人がいない前提」も話すこと

ここが、いちばんお伝えしたいところです。

役割分担を決めると安心してしまいますが、災害はその人が家にいるときに起きるとは限りません。「お父さんがブレーカーを落とす」と決めていても、お父さんが会社にいたら誰もやりません。

だから役割は決めつつ、「その人がいなかったら誰がやるか」までセットで話してください。人を決めるというより、やることのリストを全員が知っている状態をつくる、というほうが正確かもしれません。

2|時間帯で、まったく違います

ここを想像しておくと、一気に現実的になります。

一度、数えてみてください。家族全員が同じ場所にいる時間は、1日のうち何時間あるでしょうか。多くの家庭では、寝ている時間と、夕食の1〜2時間くらいではないでしょうか。

平日の昼|いちばん難しい

親は職場、子どもは学校、高齢の親は家。全員バラバラです。

  • 子どもは学校から勝手に帰されません。保護者が来るまで預かるのが原則です
  • だから親が慌てて危険な中を移動しないことのほうが大事です
  • 引き取れる人を3人以上学校に登録しておく

詳しくは子どもが学校にいるとき地震が起きたらをどうぞ。ここを知っているだけで、親の判断がまったく変わります。

夜・早朝|全員いるが、暗い

全員そろっている代わりに、停電すると真っ暗です。しかも寝起きで、はだしで、メガネもありません。

この時間帯の対策は、話し合いというより配置です。枕元に、懐中電灯とスリッパと、メガネ。これを家族全員分そろえる、と決めてください。

休日|外出先でバラバラ

買い物、習い事、それぞれの用事。誰がどこにいるか分からない状態です。

ここで効くのが、スマホの位置情報の共有です。設定しておけば、お互いがどこにいるか分かります。連絡がつかなくても、無事に移動していることが見えるだけで安心できます。設定方法はスマホの防災設定5つにまとめました。

3|決めたことは、紙に書いてください

話して終わりにすると、3日で忘れます。そして災害時、スマホは電池が切れます。

紙に書いて、家族それぞれが持つ。これだけで実用度がまるで変わります。書く項目はこれくらいで十分です。

  • 家族全員の名前と電話番号
  • 集合場所(第1・第2)
  • 避難所の名前と住所
  • 遠くに住む親戚の連絡先(中継役になってもらう)
  • かかりつけ医、持病と薬の名前
  • 保険会社の連絡先と証券番号

財布やランドセル、防災バッグに1枚ずつ。子どもには、自分の名前と親の電話番号を書いたものを必ず持たせてください。

年に1回、見直す日を決める

子どもは進学し、親は年をとり、住む場所も変わります。1回決めたら終わり、ではありません。

おすすめは防災の日(9月1日)か、家族の誰かの誕生日です。日付を決めておくと続きます。ついでに備蓄の賞味期限も見ておくと一石二鳥です。

高齢の親と離れて暮らしている方は、高齢の親に防災を伝えるコツもあわせてどうぞ。

今日1つだけやるなら、これ

今晩の食卓で、「地震が来たら誰が玄関を開ける?」とだけ聞いてみてください。

これだけで会議は始まります。重い話にしなくていいんです。答えが出なくても、家族が一度考えたという事実が残ります。

今日のチェックリスト

  • ☐ 揺れが収まったあとの役割を割り振った
  • ☐ その人がいない場合も話した
  • ☐ 平日昼・夜・休日の3パターンを想像した
  • ☐ 連絡先を書いた紙を家族分つくった
  • ☐ 見直す日を決めた

まとめ

人の備えで大事なのは、役割を決めること、その人がいない前提も話すこと、そして紙に残すことの3つです。

物の備えには数万円かかりますが、これは0円で、15分で終わります。4部シリーズの中で、いちばん費用対効果が高いのがここだと思っています。


次に読むべき記事

「集合場所と情報源の決め方はこちらです」
→ 防災グッズより大事な「連絡の決め事」

「連絡が取れないときの具体的な手段です」
→ 災害時に家族と連絡が取れないとき|安否確認の方法

「子どもが学校にいるときの動き方です」
→ 子どもが学校にいるとき地震が起きたら

「シリーズの最初から読む方はこちらです」
→ 地震の備えは何から?まず揃える防災グッズ【物の備え編】

「他の記事も見てみたい方は、目的別の目次からどうぞ」
→ 防災、何から始める?目的別の記事まとめ

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