防災士が解説|火災保険は災害で使える?水災45cm・風災20万円の壁と地震の扱い

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地震や台風の話になると、「もし家が壊れたらどうなるんだろう」と不安になりますよね。

ただ、多くの方が自分の火災保険の中身をほとんど知らないまま加入しています。私も防災士として相談を受けますが、「入っているから大丈夫」と言う方に内容を聞くと、答えられないことがほとんどです。

この記事では、何が出て、何が出ないのかを具体的な数字まで含めて整理します。読み終えたら、証券を1回見るだけで済むようにしました。

結論|火災保険は「災害保険」です。ただし地震は別

名前が「火災」なので誤解されますが、火災保険がカバーするのは火事だけではありません。

  • 火災、落雷、破裂・爆発
  • 風災(台風・突風で屋根が飛んだ、雨どいが壊れた)
  • 水災(洪水、内水氾濫、土砂崩れによる被害)
  • 雪災(雪の重みで壊れた、雪崩)
  • 水濡れ、盗難、破損・汚損(契約による)

かなり広いです。ただし、地震・噴火・津波による被害は対象外です。ここが最大の落とし穴になります。

しかも見落とされがちなのが、地震が原因で起きた火事も、火災保険では出ないということ。「火事なんだから火災保険でしょう」と思ってしまいますが、原因が地震だと対象外になります。

補償には「条件」がついています

ここがいちばん知られていないところです。風災も水災も、被害が出れば必ず払われるわけではありません。

水災には「45cm」という線があります

多くの契約で、水災の支払い条件はこう決まっています。

  • 建物または家財の損害額が、保険価額の30%以上
  • または床上浸水、もしくは地盤面から45cmを超える浸水

つまり、床下浸水で45cm以下だと、1円も出ないことがあります。片付けに何日もかかって、泥出しの費用もかかったのに、です。

そして最近は、水災を外せるタイプの契約が増えています。保険料が安くなるので外している方もいますが、その場合は浸水しても本当に何も出ません。ご自身の地域が浸水想定区域かどうかは、ハザードマップで確認してから判断してください。

風災には「20万円」という線があることも

少し前の契約に多いのが、損害額が20万円以上でないと支払われないというタイプです。屋根瓦が数枚飛んだくらいだと、修理費が20万円に届かず対象外になります。

最近の契約は「免責金額」方式(自己負担を差し引いて払う)が主流ですが、古い証券のままの方は要注意です。

地震保険のリアルな数字

「じゃあ地震保険に入ればいい」と思われるかもしれませんが、こちらにも知っておくべき前提があります。

  • 単独では入れません。火災保険とセットでのみ加入できます
  • 保険金額は、火災保険の30〜50%の範囲でしか設定できません
  • 上限は建物5,000万円、家財1,000万円
  • 保険料は国が関与しているので、どの会社でも同じです(建物の構造と地域で決まります)

つまり、地震保険は家を建て直すための保険ではありません。生活を立て直すための当座の現金、という位置づけです。ここを誤解していると「入っていたのにこれだけか」となります。

支払いは4段階です

  • 全損……保険金額の100%
  • 大半損……60%
  • 小半損……30%
  • 一部損……5%

実損を1円単位で計算するのではなく、この区分で決まります。判定は保険会社の調査によります。

賃貸の方こそ、確認する価値があります

「賃貸だから関係ない」と思っていませんか。建物は大家さんのものですが、部屋の中の家具・家電は全部あなたのものです。

入居時にほぼ必ず加入している家財保険に、地震の補償が付いているかどうか。ここは一度見ておく価値があります。冷蔵庫・洗濯機・テレビ・パソコンを買い直す金額を考えると、決して小さい話ではありません。

賃貸でできる備えは賃貸でもできる浸水対策にもまとめています。

請求には期限があります

意外と知られていませんが、保険金の請求権は3年で時効になります。「去年の台風で壊れたまま直していない」という箇所があれば、まだ間に合う可能性があります。

請求で必ず必要になるのが被害状況の写真です。片付ける前に撮ってください。実際の申請の流れは床上浸水後の片付け手順と水災補償の申請に書きました。

公的な支援制度と保険は別物で、両方使えます。制度のほうは災害で被害を受けたら|受けられる支援と手続きをどうぞ。

今の火災保険、ここだけ見てください

新しく入る必要はありません。今の証券を1回開くだけで十分です。

  • 水災が付いているか(外していないか)
  • 風災の支払い条件(20万円以上の損害、になっていないか)
  • 地震保険が付いているか、金額はいくらか
  • 家財の補償があるか、いくらか

この4つだけです。証券が見つからなければ、保険会社に電話すれば教えてもらえます。

火災保険の比較はこちらから

なぜ「今」なのか

災害が起きたあとは、保険会社に連絡が殺到します。調査の順番待ちにもなりますし、そもそも見直しはできません。

冷静に中身を確認できるのは、何も起きていない今だけです。

今日のチェックリスト

  • ☐ 火災保険の証券がどこにあるか分かる
  • ☐ 水災が付いているか確認した
  • ☐ 地震保険の有無と金額を確認した
  • ☐ 家財補償の金額を確認した
  • ☐ 去年以前の未修理の被害がないか思い出した

まとめ

火災保険は、入っているだけでは意味がありません。水災の45cm、風災の20万円、地震は別枠で30〜50%。この3つを知っているかどうかで、被災したあとの現実がまるで変わります。

防災は「物の備え」だけではなく「お金の備え」も含まれます。今日は証券を1回開くだけで十分です。


見落とされがちですが、水道管の破裂による水漏れも、「水濶れ」の補償で対応できることがあります。水道管の凍結を防ぐで触れています。

次に読むべき記事

「水害で実際に請求するときの流れです」
→ 床上浸水後の片付け手順と火災保険・水災補償の申請の流れ

「保険とは別に、公的な支援もあります」
→ 災害で被害を受けたら|受けられる支援と手続きの基本

「自分の家が浸水するのか、先に確認を」
→ ハザードマップの見方を3分で|色と逃げ先だけ見ればOK

「他の記事も見てみたい方は、目的別の目次からどうぞ」
→ 防災、何から始める?目的別の記事まとめ

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