寒くなってくると、ストーブを出します。エアコンだけでは足りない部屋や、足元だけ暖めたいときに、電気ストーブは便利です。
ただ、この時期から春先にかけて、ストーブによる火災が増えます。しかも燃えているのはストーブ本体ではなく、そばにあった布団や洗濯物です。
結論:いちばん多いのは「可燃物が触れる」ことです
故障や漏電ではありません。燃えるものがストーブに近づいて、熱で発火する。これが最も多い経過です。
東京消防庁も、ストーブ火災は「周りの可燃物がストーブに接触することにより発生」すると説明しています(東京消防庁|ストーブの周りに、物を置かないようにしましょう)。
👉 つまりストーブを買い替えても、置き方が同じなら危険は減りません。
数字で見ると、電気ストーブが半分を占めます
NITEが暖房器具の事故を10年分まとめています。
- 2010年度〜2019年度の10年間で、暖房器具の事故は1,361件
- そのうち死亡事故が163件(191人)
- 最も多い事象が「可燃物の接触」で187件
- その187件のうち、電気ストーブが97件(52%)
出典:NITE|衣類や布団などの可燃物の接触に注意!(令和2年11月26日発表)
👉 可燃物が触れて起きた事故の半分が電気ストーブです。石油ストーブより安全なイメージがありますが、データ上はそうなっていません。
なぜ電気ストーブなのか|炎が見えないからです
石油ストーブには炎があります。見えるので、人は自然に距離をとります。
電気ストーブには炎がありません。だから「これは火ではない」と感じてしまう。ここが落とし穴です。
実際には、電気ストーブの表面やヒーター部分は高温になります。触れていなくても、近くにあるだけで放射熱で発火することがあります。
危ない場面① つけたまま寝る
いちばん避けたい使い方です。
寝ている間は、異常に気づけません。寝返りで布団や毛布が動いて、ストーブに触れることがあります。気づいたときには、布団が燃えています。
👉 NITEも東京消防庁も、就寝前に必ず消すことを挙げています。タイマーで消えるから大丈夫、とも考えないでください。タイマーが切れるまでの間に、布団が触れる可能性は残ります。
危ない場面② 洗濯物を近くで干す
冬は洗濯物が乾きません。ストーブの前に干したくなります。
ただ、これは両方の公的機関が名指しで注意している行為です。
- NITE:「近くで衣類などを乾かさない」
- 東京消防庁:「ストーブの近くで洗濯物を乾かさない」
👉 洗濯物が落ちてストーブにかぶさると、そこから燃えます。ハンガーが外れる、風で動く、子どもやペットがぶつかる。落ちる理由はいくらでもあります。
危ない場面③ 布団・カーテン・衣類が近い
置き場所の問題です。
- ベッドや布団のすぐ横
- カーテンの裾がかかる位置
- 脱いだ服を置くソファの前
- 紙袋や段ボールを置いている場所
👉 ストーブの周囲は、ものを置かない場所として空けておく。「今日は大丈夫」ではなく、最初からそこに物が入らないようにするのが確実です。
石油ストーブは、給油の手順も決まっています
電気ストーブの話をしてきましたが、石油ストーブには固有の注意があります。
東京消防庁が挙げているのは「給油は必ず消してから行う」です。つけたまま給油して、こぼれた灯油に引火するという事故が起きています。
👉 面倒でも、いったん消してから給油してください。
守るべきことは、4つだけです
東京消防庁が挙げているポイントは、この4つです。
- 周囲に燃えやすいものを置かない
- 外出時、就寝時は必ず消す
- ストーブの近くで洗濯物を乾かさない
- 給油は必ず消してから行う
出典:東京消防庁
もし燃えたら、何で消すのか
布団やカーテンに火がついたときは、普通火災です。
住宅用消火器は、普通火災だけでなくストーブ火災にも対応しています。台所だけでなく、暖房を使う部屋からも手が届く場所に1本あると安心です。
👉 消火用具の種類と選び方は、こちらにまとめました。
→ 消火器の代わりにスプレー・投てき型でいい?3種類の違い
そして、気づくのが先です。寝室に火災警報器がついているか、一度見ておいてください。
→ 住宅用火災警報器のよくある疑問|賃貸は?罰則は?煙で起きる?
よくある質問
電気ストーブは、石油ストーブより安全ではないのですか
「燃料を使わない=安全」とは言えません。NITEの集計では、可燃物の接触による事故187件のうち電気ストーブが97件(52%)で最多でした。炎が見えないぶん近くに物を置いてしまいやすく、それが結果に出ていると考えられます。
寝るときにタイマーを使えば大丈夫ですか
タイマーが切れるまでの間は、ストーブはついたままです。その間に寝返りで布団が触れれば同じことが起きます。NITEも東京消防庁も「就寝時は消す」としており、タイマーでの代用は挙げていません。
こたつや電気カーペットも危ないですか
NITEの1,361件は暖房器具全体の事故件数で、電気ストーブだけの話ではありません。こたつや電気カーペットも暖房器具です。上に重いものを置く、コードを折り曲げたまま家具で踏む、といった使い方は避けてください。
ストーブからどれくらい離せばいいですか
機種によって違うので、取扱説明書に書かれている距離に従ってください。説明書が手元にない場合は、メーカーのサイトで型番から探せることが多いです。距離の数字が分からないときは「手を伸ばして届く範囲には置かない」を目安にしてください。
買い替えるなら、ここを見てください
いま使っているものが古い場合、買い替えで減らせるリスクがあります。
- 転倒OFFスイッチ…倒れたときに自動で電源が切れる
- 自動電源オフ…消し忘れたときに一定時間で切れる
- PSEマーク…電気用品安全法の基準を満たした製品につく表示
👉 とくに転倒OFFは、地震のときにも効きます。揺れでストーブが倒れ、そのまま通電し続けるのが、地震後の火災の一因です。
地震のあとの火災については、こちらにまとめています。
→ 地震のあとの火事を防ぐ|通電火災と電気の遮断
今日1つだけやるなら、これ
ストーブを置いている場所に、立ってみてください。
手を伸ばして届く範囲に、燃えるものはありませんか。
👉 布団、カーテン、洗濯物、紙類。1つでもあれば、今のうちに動かしてください。火が出てからでは間に合いません。
今日のチェックリスト
- ☐ ストーブの周囲に燃えるものがない
- ☐ 寝るときは消す習慣になっている
- ☐ 洗濯物をストーブの前に干していない
- ☐ カーテンの裾がストーブにかからない位置にある
- ☐ (石油ストーブ)給油は消してからやっている
- ☐ 寝室に火災警報器がついている
まとめ
- ストーブ火災の多くは可燃物が触れて起きる。故障ではありません
- 可燃物の接触による事故187件のうち、電気ストーブが97件(52%)
- 炎が見えないぶん、電気ストーブのほうが油断しやすい
- つけたまま寝ない・洗濯物を干さない。この2つだけでもかなり違います
- 住宅用消火器はストーブ火災にも対応している
暖房をやめる必要はありません。置き方を変えるだけです。
次に読むべき記事
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→ 天ぷら油が燃えたら|水とマヨネーズがダメな理由
「暖房を挿すコンセント側にも、火元になる条件があります」
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「何で消すのか、種類ごとの違いはこちらです」
→ 消火器の代わりにスプレー・投てき型でいい?3種類の違い
「冬に停電したとき、暖房が全部止まったらどうするか」
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「火に気づくための警報器のことです」
→ 住宅用火災警報器のよくある疑問|賃貸は?罰則は?煙で起きる?

