防災士が解説|車中避難が増えている理由と危険性|どこに停めるかで安全が変わります

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近年、地震や豪雨などの災害時に「自宅ではなく車の中へ避難する人」が増えています。
ニュースでも、避難所ではなく車中避難を選ぶ人の姿を見かけるようになりました。

なぜ今、車への避難が増えているのでしょうか。
そこには合理的な理由もありますが、同時に見落とされがちなリスクもあります。

この記事では、防災の視点から「車中避難が増えている背景」と「正しい判断基準」を整理します。


なぜ車中避難が増えているのか

■ プライバシーが確保できる

避難所では、どうしても他人と同じ空間で生活することになります。

  • 着替え
  • 睡眠
  • 会話
  • 家族の事情

こうした点から、車内の方が落ち着けると考える人が増えています。

特に
・高齢者
・子ども連れ
・ペット同伴
の家庭では、この傾向が強いです。


■ 感染症への不安

コロナ以降、「人が密集する場所を避けたい」という心理が定着しました。

避難所はどうしても:

  • 密集
  • 換気不足
  • 接触増加

が起きやすく、感染症リスクを避けるために車中を選ぶ人が増えています。


■ ペットと一緒にいられる

ペットを飼っている人は、ペットは家族と思っています。
避難所はペット不可・制限ありのケースも多いです。

そのため

「ペットを置いていけない → 車で避難」

という選択が増えています。


■ 余震・倒壊への恐怖

地震後に多い心理です。

  • 建物が怖い
  • 余震が続く
  • 家に戻りたくない

結果として「屋外に近い車内」を安全だと感じる人が増えます。


しかし車中避難には重大リスクがある

■ エコノミークラス症候群

長時間同じ姿勢で座ることで血栓ができる危険があります。

特に危険なのは:

  • 高齢者
  • 水分不足
  • 睡眠不足
  • 狭い姿勢

実際の災害でも、車中避難による死亡例が報告されています。


■ 熱中症・低体温

車内は環境変化が極端です。

  • 夏:高温地獄
  • 冬:冷え込み
  • 雨:湿気

エンジンをかけ続けると
👉 一酸化炭素中毒
👉 燃料切れ
のリスクもあります。


■ 支援物資が届きにくい

車で離れた場所にいると

  • 支援情報が届かない
  • 配給が受けられない
  • 医療支援が遅れる

という問題が起きます。


車中避難を選ぶなら最低限これを守る

✔ 2〜3時間ごとに体を動かす

✔ 水分をしっかり取る

✔ 足を伸ばせる姿勢を作る

✔ 窓を少し開けて換気

✔ 毛布・断熱対策を準備

✔ 避難所情報は常に確認


本当に大切なのは「事前の備え」

車中避難が増えているのは、裏を返せば

自宅に安心して留まれない人が多い

という現実でもあります。

つまり重要なのは:

  • 家の耐震
  • 火災対策
  • 保険の備え
  • 家財補償
  • 災害補償

ここが整っていると、
無理な車中避難をしなくて済む可能性が高まります。

地震などの大規模災害で、いつ、どこで、何が起こるかわかりませんが、いろいろな選択肢を持つことが、防災への第一歩になります。
いつかやってくる災害に、今できることを考えましょう。


どこに停めるかで、安全は変わります

車中避難の話で、意外と語られないのが停める場所です。ここを間違えると、車にいること自体が危険になります。

  • 川、用水路、海のそばは避ける……水位の上昇に気づいたときには、もう動けません
  • がけ下、斜面の下は避ける……余震で土砂が落ちてきます
  • ブロック塀、古い建物、電柱のそばは避ける……倒れてきます
  • 木の下も避ける……台風では枝が落ちます
  • できるだけ平らな場所に……傾いた場所で寝ると、体に負担がかかります

そして避難所の駐車場が使えるなら、そこがいちばんです。情報も物資も届きますし、トイレも使えます。多くの自治体が車中避難の届け出を受け付けているので、まず相談してみてください。

冬は、一酸化炭素に気をつけてください

これは命に関わる話なので、必ず読んでください。

寒いからとエンジンをかけたまま眠る方がいます。このとき雪がマフラー(排気管)をふさぐと、排気ガスが車内に逆流します。一酸化炭素は無色無臭で、気づいたときには体が動きません。毎年、これで亡くなる方がいます。

  • 雪のときはエンジンを切って寝る……これが原則です
  • どうしてもかけるなら、マフラーの周りを必ず除雪する
  • 窓を少し開けて換気する
  • 寒さは寝袋や毛布、アルミシートでしのぐ

夏は逆に、車内は短時間で50℃を超えます。日中の車中は、それだけで危険だと考えてください。

車に何を積んでおくか

車中避難を選択肢に入れるなら、ふだんから積んでおくものがあります。

  • 水と携帯トイレ(車のトイレ問題はかなり深刻です)
  • シガーソケットの充電器
  • 歩ける靴
  • 毛布、アルミシート
  • 窓を覆うもの(プライバシーと断熱)

逆にモバイルバッテリーとスプレー缶は積まないでください。夏の車内では発火の危険があります。詳しくは車に積んでおく防災グッズにまとめました。

今日1つだけやるなら、これ

車の中で、足を伸ばして寝られるか試してみてください。

座ったままの姿勢が続くことが、エコノミークラス症候群の原因です。荷物の置き方を変えるだけで足を伸ばせるなら、それが最大の対策になります。

今日のチェックリスト

  • ☐ 車で足を伸ばせるか確かめた
  • ☐ 停めてはいけない場所を家族と共有した
  • ☐ 雪のときはエンジンを切ると決めた
  • ☐ 水と携帯トイレを積んだ
  • ☐ 車中避難でも避難所に届け出ると知った

冬の車中泊には、もう一つ別の危険があります。雪でマフラーがふさがれると、排気が車内に逆流します。大雪で車が立ち往生したらに書きました。

次に読むべき記事

「避難所で困るのはプライバシーです」
→ 避難所のプライバシー問題|持って行くと役立つもの

「ペットと一緒に避難できるかどうか」
→ ペットと避難するには|犬・猫と一緒に避難所へ行けるのか

「冬の避難所は、寒さがこたえます」
→ 避難所の寒さ対策|大雪の前に用意しておくもの

「車で避難するなら、積んでおくものも決めておきましょう」
→ 車に積んでおく防災グッズ|夏に置いてはいけない物もあります

「他の記事も見てみたい方は、目的別の目次からどうぞ」
→ 防災、何から始める?目的別の記事まとめ

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