冷蔵庫の裏のコンセント。最後に抜いたのは、いつでしょうか。
思い出せないという方がほとんどだと思います。そして、思い出せないくらい長く挿しっぱなしになっているコンセントが、火事の原因になることがあります。
結論:ほこりと湿気で、電気の通り道ができます
トラッキング現象といいます。NITEはこう説明しています。
👉 「付着したほこりや水分により電気の通り道が生成され、異常発熱する現象」(NITE|ホコリも積もれば事故となる(令和6年11月28日発表))
ポイントは人がいなくても起きることです。スイッチを入れていなくても、プラグが挿さっていれば電気は来ています。留守中でも、寝ている間でも発火します。
数字で見ると、配線器具の事故の6割が火災です
NITEが配線器具の事故をまとめています。
- 2014年度〜2018年度の5年間で、配線器具の事故は309件
- そのうち火災に至ったものが191件(62%)
- 誤使用・不注意によるものが107件あり、その中で最も多いのがトラッキング現象
出典:NITE|点検しましょう。ほこりを払ってキレイに年越し(令和元年12月19日発表)
直近の集計では、2019年度〜2023年度の5年間で153件と報告されています(NITE 2024年発表)。
👉 配線器具の事故は、起きると6割が火災になります。壊れて動かなくなる、で済まないということです。
危ないのは「抜かないコンセント」です
NITEは、長期間接続されたコンセントで起きやすいとしています。家の中で思い当たるのは、このあたりです。
- 冷蔵庫の裏
- 洗濯機の後ろ
- テレビ・レコーダーの裏側
- ベッドやソファの下に隠れたタップ
- 本棚や収納の裏
👉 共通しているのは「見えない場所」です。見えないから掃除をしない。掃除をしないからほこりが溜まる。ほこりが溜まっても、見えないから気づかない。
家具の配置を変えたときに、そのまま何年も触っていないコンセントがないか思い出してみてください。
水気のある場所は、とくに注意
トラッキング現象は、ほこりだけでは起きにくいとされています。そこに水分が加わると、電気が流れやすくなります。
- キッチンまわり(調理の湯気、油を含んだ水分)
- 洗面所・脱衣所
- 洗濯機のそば
- 加湿器を置いている部屋
- 結露しやすい窓ぎわ
👉 NITEも「接続部への水分付着に注意」を挙げています。水まわりのコンセントは、ほこりの掃除をより短い間隔でやってください。
たこ足配線は、何がいけないのか
「たこ足はダメ」とよく言われますが、理由は差し込む数そのものではありません。
問題は合計の消費電力が、タップの上限を超えることです。タップには「1500W まで」のように上限が書かれています。これを超えると、コードやタップ自体が発熱します。
👉 NITEも対策のひとつに「最大消費電力を超えて使用しない」を挙げています。
とくに冬は、電気ストーブ・こたつ・電気ケトルなど消費電力の大きい家電が増えます。同じタップに2つ挿すと、それだけで上限に近づきます。
暖房器具そのものの火災については、こちらにまとめました。
→ 電気ストーブで布団は燃えます|つけたまま寝るのが危ない理由
NITEが挙げている対策は5つです
- 電源プラグとタップをこまめに掃除し、水分がつかないようにする
- プラグが変形していないか確認する
- コードを引っ張った跡・踏みつけた跡がないか確認する
- 最大消費電力を超えて使っていないか確認する
- 異常な発熱や異臭があれば、すぐに使用をやめる
👉 掃除のときはプラグを抜いてから、乾いた布で拭いてください。挿したまま濡れた布で拭くのは、いちばんやってはいけないことです。
年末の大掃除に、1項目足してください
NITEがこの注意喚起を出すのは、毎年11月から12月です。タイトルにも「年末は配線器具の掃除・チェックもお忘れなく」と入っています。
大掃除のときは、棚の上やサッシには手が伸びます。でも冷蔵庫を動かしてコンセントを拭く人は、あまりいません。
👉 今年の大掃除リストに、「コンセントのほこり」を1行足しておいてください。年に1回やるだけでも違います。
よくある質問
家中のプラグを全部抜いて掃除しないとだめですか
全部でなくて構いません。長期間抜いていない場所と水まわりを優先してください。冷蔵庫の裏、洗濯機の後ろ、テレビの裏。この3か所だけでもかなり減らせます。
トラッキング防止のプラグやカバーは効果がありますか
プラグの根元を覆って、ほこりが入りにくくする製品が売られています。ただし掃除をしなくてよくなるわけではありません。NITEが挙げている対策の筆頭は、あくまで「こまめな掃除」です。補助として使う分には意味があります。
👉 買い替えるなら、ほこりシャッター付きで、最大W数が本体に書かれているものを選んでください。シャッターはほこりの侵入を減らし、W数の表示はたこ足の上限を確認するのに要ります。国内で売られているものはPSEマークの有無も確かめてください。
どのくらいの頻度で掃除すればいいですか
公的機関が「何か月に1回」と示している数字は見つかりませんでした。目安がないと続かないので、大掃除のとき+梅雨入り前のように年2回の行事に紐づけておくのが現実的です。水まわりはもう少し短い間隔で見てください。
コンセントに黒い焦げ跡があります。まだ使えますか
使わないでください。焦げ跡は、すでに異常な発熱が起きた跡です。NITEも「異常な発熱や異臭があれば使用をやめる」としています。プラグを抜いて、タップなら交換、壁のコンセントなら電気工事店や管理会社に相談してください。
もし燃えたら
コンセントから出火した場合、まずプラグを抜くかブレーカーを落とすのが先です。通電したまま水をかけると感電のおそれがあります。
👉 消火用具の選び方は、こちらにまとめています。
→ 消火器の代わりにスプレー・投てき型でいい?3種類の違い
そして、気づくのが先です。
→ 住宅用火災警報器のよくある疑問|賃貸は?罰則は?煙で起きる?
モリタ宮田工業 家庭用 消火器 アルテシモ4型 MEA4H (リサイクルシール付き/アルミ製
今日1つだけやるなら、これ
冷蔵庫の裏のコンセントを、のぞいてみてください。
白いほこりが、プラグの根元に溜まっていませんか。
👉 溜まっていたら、プラグを抜いて乾いた布で拭く。それだけです。1分で終わります。
今日のチェックリスト
- ☐ 冷蔵庫の裏のコンセントを見た
- ☐ 洗濯機の後ろのコンセントを見た
- ☐ テレビ・レコーダーの裏を見た
- ☐ タップの上限(W数)を確認した
- ☐ 焦げ跡・変形のあるプラグがない
- ☐ 大掃除リストに「コンセントのほこり」を足した
まとめ
- トラッキング現象はほこり+水分で電気の通り道ができ、異常発熱する現象
- 人がいなくても、スイッチを切っていても起きる
- 配線器具の事故309件のうち191件(62%)が火災
- 誤使用による事故の中でトラッキング現象が最多
- 危ないのは見えない場所と水まわり
- たこ足がダメなのは数ではなく合計の消費電力が上限を超えるから
掃除だけで防げる火事です。年に1回でいいので、見えない場所のコンセントを見てください。
次に読むべき記事
「台所はコンセントも油も、両方に気をつけたい場所です」
→ 天ぷら油が燃えたら|水とマヨネーズがダメな理由
「暖房器具も、この時期の火元です」
→ 電気ストーブで布団は燃えます|つけたまま寝るのが危ない理由
「地震のあと、電気が原因で起きる火事のことです」
→ 地震のあとの火事を防ぐ|通電火災と電気の遮断
「何で消すのか、種類ごとの違いはこちらです」
→ 消火器の代わりにスプレー・投てき型でいい?3種類の違い

