「一戸建てに消火器って、いるんでしょうか」
防災士として、よく聞かれる質問です。結論から言うと法律上の義務はありません。でも、置く価値はあります。
この記事では、義務の有無、置くかどうかの判断、そして意外と知られていない使用期限と捨て方までまとめます。消火器の種類や効果そのものについては家庭用消火器の必要性と効果で詳しく書いています。
住宅に設置義務はありません
消防法で消火器の設置が義務づけられているのは、飲食店や店舗、一定規模以上の建物などです。一般の戸建て住宅には義務がありません。
ちなみに義務があるのは住宅用火災警報器のほうです。こちらは全住宅が対象なので、混同しないようにしてください。詳しくは住宅用火災警報器はなぜ必要?をどうぞ。
マンションと一戸建ての違い
マンションの廊下を思い出してみてください。消火器が置いてあるはずです。あれは共用部分に対する設置義務によるもので、歩行距離20m以内に1本という基準で配置されています。
つまりマンションなら、玄関を出れば必ずどこかに消火器があります。
一方で一戸建ては、自分で置かないかぎり1本もありません。町内会や自主防災会が街角に設置していることもありますが、家から何十メートルも走ることになります。火が広がるのは数十秒です。取りに行っている間に手に負えなくなります。
置くと決めたら、どれを選ぶか
住宅用消火器
家庭向けに作られたものです。軽くて扱いやすく、天ぷら油、ストーブ、電気製品の火災に対応しています。
ひとつ知っておいてほしいのは、住宅用は詰め替えができない使い切りタイプだということ。期限が来たら本体ごと交換します。
モリタ宮田工業 家庭用 消火器 アルテシモ4型 MEA4H (リサイクルシール付き/アルミ製畜圧式粉末ABC) [モリタユージー]
選ぶときは、後述するリサイクルシールが貼られているかを見てください。捨てるときに必要になります。
スプレー式の簡易消火具
キッチンに置いておける、缶タイプのものです。手軽さは圧倒的で、女性やお年寄りでも扱えます。
ただし正直に書くと、これは消火器の代わりにはなりません。薬剤の量が少なく、対応できる火災の種類も限られます。「本格的な消火器の前段階」と考えて、あくまで初期の初期に使うものだと割り切ってください。
置き場所は「火元の近く」ではありません
ここを間違えている家庭が多いです。
コンロのすぐ横に置くと、火が出たときに炎の向こう側になって取れません。正しくは、台所の出入口のあたりです。逃げながら手に取れて、背中側に逃げ道がある場所。これが原則です。
- 台所の出入口付近に1本
- 余裕があれば玄関にもう1本
- 2階建てなら、寝室のある階にも
- 家族全員が場所を知っていることが大前提です
使用期限があります
ここが、いちばん見落とされるところです。消火器は置きっぱなしでいいものではありません。
- 住宅用消火器……おおむね5年
- 業務用消火器……おおむね10年
本体のラベルに期限が書いてあります。今日、見てみてください。
そして古い消火器は、それ自体が危険です。底のあたりがさびて腐食した加圧式の消火器が、レバーを握った瞬間に破裂する事故が実際に起きています。さびている、へこんでいる、変形しているものは触らず、そのまま処分してください。
消火器は、ゴミに出せません
これを知らずに、物置に放置されている消火器がとても多いです。
消火器は、自治体の不燃ごみや粗大ごみでは回収してもらえません。メーカーによるリサイクルの仕組みで処分します。方法は3つです。
- 特定窓口に持ち込む……消火器販売店や防災設備の会社です。新しいものを買うときに引き取ってもらうのがいちばん簡単です
- 指定引取場所に持ち込む……回収の拠点です
- ゆうパックで送る……住宅用消火器が対象です。申し込むと箱が届きます
いずれもリサイクルシールが必要です。新品には最初から貼ってありますが、古いものは購入が必要になります。窓口の場所は「消火器 リサイクル 窓口」で検索するか、お住まいの市区町村に問い合わせてください。
なお、スプレー式の簡易消火具は、自治体のルールで捨てられることが多いです。この手軽さも選ぶ理由のひとつになります。
今日1つだけやるなら、これ
家に消火器があるなら、ラベルの期限を見てください。
切れていたら、それは「ある」ではなく「ない」と同じです。ない家庭は、台所の出入口に1本置くところから考えてみてください。
今日のチェックリスト
- ☐ 家に消火器があるか確認した
- ☐ 使用期限を見た
- ☐ さびや変形がないか見た
- ☐ 置き場所が「炎の向こう側」になっていない
- ☐ 家族全員が場所を知っている
まとめ
一戸建てに消火器の義務はありませんが、玄関を出ても1本もないのが一戸建てです。マンションとの決定的な違いはここにあります。
そして置いたら置いたで、期限は5年、捨てるときはゴミに出せない。この2つを覚えておいてください。買うときに古いものを引き取ってもらうのが、いちばん手間がかかりません。
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