防災士が解説|断水が復旧したら、すぐ飲んでいい?|白い濁りと赤い濁りの違い

断水が終わって、蛇口から水が出るようになった。では、そのまま飲んでいいのか。

復旧直後の水は、濁っていることがあります。そして濁りの色によって、やることがまったく違います。

断水のあいだは水の確保(備蓄は何日分必要か)や体の清潔(断水でお風呂に入れないとき)にばかり気が向きますが、問題が起きやすいのはむしろ復旧したあとです。濁った水をそのまま使って、給湯器や洗濯機を壊してしまう例があります。

結論:白い濁りは大丈夫、赤い濁りは流してから

先に答えを書きます。

  • 白く見える濁りは「空気」。しばらく置けば透明になり、水質に問題はありません
  • 赤色や茶色の濁りは「錆」。そのまま使わず、透明になるまで水を流してください
  • 濁っているあいだは、飲まない・お湯を沸かさない・トイレに流さない

同じ「濁り」でも、片方は放っておいていいもので、もう片方は機械を壊します。見分け方は色だけなので、難しくありません。


白い濁りは「空気」です

千葉市の案内では、こう書かれています。「水が白く見える場合は、水道管内に混入した空気が原因です」。そして「しばらく置くと透明になりますので、水質に問題はありません」。

断水中は水道管の中が空になり、復旧のときに水と一緒に空気が押し込まれます。その空気が細かい泡になって、水が白く濁って見えます。牛乳のように白く見えることもあります。

確かめ方は簡単です。コップに汲んで、少し置いてください。下のほうから透明になっていけば空気です。泡が上に抜けていくだけなので、そのまま使って問題ありません。


赤茶色の濁りは「錆」です

こちらは別物です。浜松市の案内では、「濁りの多くは、水道管の中で錆(さび)が発生していることが原因です」とされています。

断水と復旧で水の流れが変わると、管の内側にたまっていた錆が剥がれて流れ出します。これは置いても透明になりません。水そのものを入れ替える必要があります。

ふだんは水が一定方向に流れているので、錆は管の内側に落ち着いています。そこへ断水と復旧で急な流れや逆流が起きると、まとめて剥がれます。断水が長かったときや、近所で工事があったときほど出やすくなります。冬の水道管の凍結から断水した場合も同じです。

千葉市は「赤色や茶色の濁りが見られる場合は、そのまま使用せず、しばらく水を流してください」とし、「透明な水になるまで」流すよう案内しています。時間の目安としては数分間です。


濁っているあいだ、やってはいけないこと

浜松市は、濁っているときの注意をはっきり書いています。理由は「宅内で水を使う機械に錆が詰まり故障する可能性があるため」です。

  • 飲まない(濁りが取れるまで飲用は控える)
  • お湯を使わない(給湯器を作動させない)
  • トイレに水を流さない

3つめは意外に思うかもしれません。断水中にトイレを流してはいけない理由は「排水管が壊れているかもしれないから」ですが(これは携帯トイレの記事にまとめています)、復旧直後にトイレを流してはいけない理由はまったく別で、錆がトイレの機械部分に詰まるからです。場面が違えば理由も違います。

同じ理屈で、洗濯機や食洗機、製氷機も、濁りが取れるまで使わないほうが安全です。電気温水器やエコキュートのようにタンクに水をためる機器は、濁った水が入ると厄介なので、取扱説明書で停止のしかたを確認しておいてください。

洗濯機はもう1つ理由があります。錆を含んだ水で洗うと、洗濯物に色が移ることがあります。白い物を洗ったあとで気づいても戻せません。


どこの蛇口から出すか

浜松市は「屋外の散水栓などの蛇口を開けてしばらく様子を見て、濁っている場合は水を出し続け、濁りが取れるまで飲用への使用はお控えください」と案内しています。

ポイントは屋外の蛇口から出すことです。理由は2つあります。濁った水を家の中に通さずに済むことと、浄水器やシャワーヘッドのようなフィルターを錆で詰まらせずに済むことです。

屋外に蛇口がない場合は、浴室やキッチンなど、フィルターや機械を通らない蛇口から出してください。浄水器がついている蛇口は、切り替えて原水で出すか、最後に回します。


地震のあとは、漏水も確かめてください

地震で断水した場合は、水が出るようになったあとに確認することがもう1つあります。浜松市は「一度、宅内の蛇口をすべて閉じ、水道メーターが回っていないか確認して下さい」と案内しています。

家の中の蛇口を全部閉めているのにメーターが動いていれば、どこかで漏れています。壁の中や床下で漏れていると、見ただけでは分かりません。気づかないまま使い続けると、水道料金にも建物にも響きます。

漏れが疑われるときは、自分で直そうとせず、指定給水装置工事事業者に依頼してください。


よくある質問

濁りが何時間も取れません

長く続く場合は、自宅の中だけの問題ではない可能性があります。千葉市は「赤水や濁りが長時間続く」場合は連絡するよう案内しています。水道事業者(自治体の水道局や水道課)に連絡してください。延々と流し続けても解決しないことがあります。

白い濁りと赤い濁り、見分けがつきません

コップに汲んで置いてみてください。下から透明になっていくなら空気です。置いても色が変わらない、底に粉のようなものが沈むなら錆です。迷うなら錆として扱い、流してから使えば安全側に倒せます。

濁った水は捨てるしかないですか

飲用や調理には使えませんが、バケツに取っておけばトイレを流すのに使えます。ただし排水管に破損がないと分かってからにしてください。断水明けは水が貴重なので、捨てる前に用途を考える価値はあります。

浄水器を通せば飲めますか

すすめられません。浄水器のフィルターは錆を大量に受け止めるようにはできていません。詰まって能力が落ちますし、交換時期も早まります。濁りを取るのは浄水器の仕事ではなく、流して入れ替えることです。

集合住宅でも同じですか

基本は同じですが、マンションは受水槽やポンプを経由することがあり、建物全体で復旧作業が必要な場合があります。自分の部屋だけで判断せず、管理会社や掲示を確認してください。マンション特有の事情はマンションの防災の記事にまとめています。


今日1つだけやるなら、これ

屋外に蛇口(散水栓)があるか、確かめてください。

1分で終わります。あることを知っているだけで、復旧したときに家の中を錆水で汚さずに済みます。ついでに、水道メーターがどこにあるかも見ておいてください。漏水の確認はメーターの場所を知らないと始められません。


今日のチェックリスト

  • 白い濁りは空気、赤茶の濁りは錆だと知っている
  • 赤茶のときは透明になるまで数分流すと知っている
  • 濁っているあいだは飲まない・給湯器を使わない・トイレに流さないと知っている
  • 屋外の散水栓の場所を知っている
  • 水道メーターの場所を知っている
  • 濁りが長く続いたら水道局に連絡すると決めている

まとめ

  • 白く見える濁りは水道管に入った空気で、置けば透明になり水質に問題はない(千葉市)
  • 赤色や茶色の濁りは錆なので、そのまま使わず透明になるまで数分流す(千葉市・浜松市)
  • 濁っているあいだは、飲用・給湯器・トイレを避ける。機械に錆が詰まるため(浜松市)
  • 流すのは屋外の散水栓から。家の中とフィルターを通さない
  • 地震のあとは、蛇口を全部閉めて水道メーターが回らないか確かめる(浜松市)

断水は「水が出れば終わり」ではありません。出た水をどう扱うかまでが復旧です。色を見るだけで判断できるので、知っているかどうかだけの差になります。


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