電動自転車は、通勤や買い物、子どもの送り迎えに欠かせない乗り物になりました。
そのバッテリーにもリチウムイオン電池が入っています。
そして、扱い方を間違えると火災になります。
実際に全国で、電動自転車のバッテリーが原因とみられる火災が起きています。
この記事では、防災士の視点から
電動自転車バッテリー火災の原因と、防ぐ方法を解説します。
結論:気をつけるのは「衝撃」「劣化」「非純正」「高温」
原因はこの4つに整理できます。
- 衝撃…落とす、転倒する
- 劣化…寿命を過ぎたまま使う
- 非純正…安い互換バッテリー
- 高温…暑い場所での充電・保管

なぜ、電動自転車のバッテリーは特に怖いのか
理由はかんたんで、容量が大きいからです。
スマホやモバイルバッテリーとは、入っている電気の量がまったく違います。
そのぶん、一度燃え始めると火の勢いが強く、消すのが難しくなります。
👉 だからこそ、燃やさない工夫のほうが大事になります。
数字で見ると、事故は夏に集中しています
「そんなに起きているの?」と思われるかもしれません。国の機関が公表している数字があります。
- 2021年〜2025年の5年間で2,140件…リチウムイオン電池を積んだ製品の事故(NITE・2026年7月発表)
- 8月にピーク…春から夏にかけて、気温の上昇とともに増えていきます
- 約85%が火災に発展…2020年〜2024年の集計では、1,860件のうち1,587件(NITE・2025年6月発表)
👉 気温が上がると事故が増える。これが、原因④に「高温」を挙げている理由です。
NITEは、事故を防ぐポイントとして「3つのC」を挙げています。
Cool Choice(賢く選ぶ)/Careful use(丁寧に使う)/Correct disposal(正しく捨てる)。
このあと書いていく内容も、ここから外れません。
出典:NITE 2026年7月15日発表/同 2025年6月26日発表
原因① 落下などの衝撃
バッテリーを落としたり、強くぶつけたりすると、
内部が壊れてショートすることがあります。
- 着脱するときに落とす
- 自転車ごと倒れる
- 駐輪場でぶつけられる
⚠️ 落とした直後は問題なく見えても、あとから異常が出ることがあります。
強く落としたときは、販売店で見てもらうと安心です。
原因② 劣化したバッテリーを使い続ける
バッテリーは消耗品です。
一般的な寿命は3〜5年と言われています。
年数が経つと、こんな症状が出てきます。
- すぐ充電が切れる
- 充電中に熱くなる
- 本体がふくらむ
👉 「まだ走れるから」と使い続けるのが、いちばん危ない状態です。
原因③ 非純正・互換バッテリーを使う
純正品は高いので、安い互換バッテリーを探す気持ちはよく分かります。
ただ、互換品の中には
- 保護回路が不十分
- 品質管理が不十分
- 車体の充電器と合っていない
という製品もあります。
👉 バッテリーと充電器はメーカー純正の組み合わせで使ってください。
ここは節約しないほうがいいところです。
原因④ 高温の場所で充電・保管する
リチウムイオン電池は高温がとても苦手です。
- 夏の車の中
- 直射日光の当たるベランダ
- 閉め切った物置
👉 バッテリーは外して、室内で保管するのが基本です。
冬の寒さも苦手なので、極端な場所を避けるだけで十分です。
充電するときの3つの約束
ここが、防災士として一番お伝えしたいところです。
① 玄関や廊下で充電しない
意外に思われるかもしれません。
でも、玄関は逃げるための出口です。
そこで出火すると、逃げ道をふさがれます。
充電は、出口をふさがない場所でしてください。
② 燃えるものの近くで充電しない
新聞紙、段ボール、カーテン、布団。
この近くは避けて、硬い床の上で充電します。
③ 寝ている間に充電しない
異常が起きても気づけません。
充電は起きている時間に済ませてください。
バッテリーを長持ちさせるコツ
安全に使うことと、長持ちさせることは、実はほぼ同じです。
劣化させないことが、そのまま火災予防になります。
- 満充電のまま放置しない(充電が終わったらコンセントから抜く)
- ゼロになるまで使い切らない(残量が少し残っているうちに充電)
- 冬は室内に取り込む(寒さも劣化の原因になります)
- 長く乗らないときも、月に1回は充電する
👉 バッテリーは安いものではありません。
大事に使えば、買い替えの回数も減ります。
このサインが出たら、使用をやめる
- 本体がふくらんでいる
- 充電中に異常に熱くなる
- 変なにおいがする
- 充電できない・すぐ切れる
👉 1つでも当てはまったら、その日で使用をやめてください。
そして販売店やメーカーに相談してください。
古いバッテリーの捨て方
使わなくなったバッテリーを、粗大ゴミや不燃ゴミに出してはいけません。
電動自転車のバッテリーは、購入した自転車店や販売店で引き取ってもらえることが多いです。
👉 捨て方の詳しい手順はこちらにまとめています。
→ リチウムイオン電池の正しい捨て方
マンションの駐輪場で充電していませんか
戸建てより気をつけたいのが、集合住宅です。
- 共用の駐輪場にコンセントがあると、つい充電したくなります
- 管理規約で、共用部での充電を禁止しているマンションもあります
- 共用部で出火すると、自分だけでなくほかの住戸の避難経路をふさぎます
- 隣に停めてある自転車にも燃え移ります
👉 バッテリーは外して部屋に持ち帰り、室内で充電するのが基本です。重いのですが、ここは手間をかける価値があります。
一度、お住まいのマンションの管理規約を見てみてください。書かれていない場合でも、共用部での充電は避けたほうが安全です。
リコールが出ていないか、一度だけ確認する
バッテリーや充電器は、過去にリコール(無償交換・回収)が出ている製品があります。対象なのに気づかないまま使い続けている、というケースがあります。
- バッテリー本体のラベルでメーカー名と型番を控える
- メーカーの公式サイトで「リコール」「お知らせ」を見る
- NITEのNITE SAFE-Lite でも、事業者名や品名から検索できます
👉 とくに中古で買った、人から譲り受けた場合は、一度確認しておいてください。前の持ち主がリコールを知らなかった可能性があります。
よくある質問
充電しっぱなしで一晩置くのは、やはり危険ですか
異常が起きても気づけないのが、いちばんの問題です。満充電になったあとも挿しっぱなしにすると、劣化も進みます。充電は起きている時間に済ませて、終わったらコンセントから抜いてください。
雨の日に乗ったあと、そのまま充電していいですか
端子が濡れたまま充電するのは避けてください。乾いた布で拭き、しばらく置いてから充電します。細かい扱いは機種によって違うので、お使いの自転車の取扱説明書に従ってください。
少しふくらんでいる気がします。まだ使えますか
使わないでください。ふくらみは、内部でガスが発生しているサインです。その日で使用をやめて、販売店かメーカーに相談してください。自分で分解したり、穴を開けたりすることは、絶対にしないでください。
何年くらいで買い替えればいいですか
一般的な寿命は3〜5年です。ただ、年数よりも「すぐ充電が切れる」「充電中に熱くなる」「ふくらんでいる」といった症状のほうが、確かな目安になります。
もし火災になったら、火災保険は使えますか
火災保険は、火災による建物や家財の損害を補償するのが基本です。ただし補償の範囲は契約内容によって変わるので、加入している保険の中身を一度確認しておくと安心です。
👉 くわしくは 火災保険は災害で使える?水災45cm・風災20万円の壁と地震の扱い にまとめています。
今日1つだけやるなら、これ
いつも充電している場所を、思い浮かべてみてください。
玄関ではありませんか?
段ボールや新聞紙が近くにありませんか?
👉 充電場所を1メートル動かすだけで、リスクはかなり下がります。
今日のチェックリスト
- ☐ 充電場所が玄関・廊下ではない
- ☐ 近くに燃えるものがない
- ☐ 寝ている間に充電していない
- ☐ バッテリーがふくらんでいないか見た
- ☐ 使って何年になるか思い出した
まとめ
電動自転車は、生活をとても楽にしてくれる乗り物です。
手放す必要はまったくありません。
気をつけることは3つだけです。
- 純正のバッテリーと充電器を使う
- 玄関と燃えるものの近くで充電しない
- ふくらんだら、その日でやめる
完璧を目指す必要はありません。
まずは充電場所を見直すところから始めてみてください。
次に読むべき記事
「なぜ燃えるのか、仕組みはこちらです」
→ リチウムイオン電池火災の原因と防ぐ方法
「モバイルバッテリーにも同じ注意点があります」
→ モバイルバッテリーの危険な使い方7選
「古くなったバッテリーの捨て方はこちらです」
→ リチウムイオン電池の正しい捨て方
「万が一のときのお金の話も、知っておくと安心です」
→ 火災保険は災害で使える?知らないと損する補償の違い
「他の記事も見てみたい」という方は、目的別の目次からどうぞ。
→ 防災、何から始める?目的別の記事まとめ

